福利厚生の重要度
就職活動を行っている学生が企業に求めているものは何なのでしょうか。企業の経営者にとっては、学生がどんな基準で就職先を決めているかは気になることと思います。
はじめに、マイナビのデータより、学生が「企業選びで最も注目するポイント」の上位10項目をグラフにまとめました。

グラフより、就職活動をするときに注目する項目として福利厚生が14.3%、社員との人間関係が13.8%、企業経営が安定しているが13.1%となっています。
福利厚生を重要視している就職活動生の割合が一番多くなっています。このように、企業選びにおいて福利厚生は就職活動をする上での大きな一つの基準となっていると言えます。
福利厚生とは
「福利厚生」とは、企業側が従業員に対して、通常の賃金や給与に付け加えて支給される非金銭報酬のことを言います。
多くの場合、福利厚生は従業員だけではなく、その配偶者や家族にも及びます。福利厚生は、従業員の仕事に対する勤労意欲や能率の向上をもたらす狙いがあるとされています。
福利厚生には、法定福利と法定外福利の2種類あります。法定福利とは、企業負担が義務づけられている福利厚生のことを言い、社会保険と子ども・子育て拠出金を加えたものを言います。
一方で、法定外福利とは、企業側が独自に従業員に提供する報酬や制度のことです。法定外福利は、企業によって違うためその企業の特色が現れると言われています。
福利厚生の壁
福利厚生の充実が、鳥取県における地方就職を増やす方法の一つと言うこともできるでしょう。しかし、福利厚生の充実はそう簡単には上手くいかないのが現状のようです。ここでは、福利厚生のメリットとデメリットについて挙げてみます。
メリット
・採用時に人材が集まりやすい
→福利厚生の充実度は、その企業の従業員への配慮や尊重の度合いを読み取ることができるため、採用活動のアドバンテージの一つにもなり得ます。
・従業員満足度やエンゲージメント(愛着)の向上
→働きやすい環境づくりによって、高い集中力で仕事に取り組むことができます。その結果、企業へのエンゲージメント(愛着)が生み出されていくでしょう。
・企業の信頼性の向上
→充実した福利厚生を提供することで安定した経営基盤の証明になります。また、従業員などへの考慮によって、社会へのアピールにもなります。
デメリット
・コストの負担が大きい
→従業員の所得が上昇するほど、企業の負担額も大きくなります。また、新しい制度を導入するたびにコストの負担も大きくなっていきます。
・管理が大変
→福利厚生の制度によって処理方法が異なります。これによって、申請書類の作成や受付、利用後の処理などの作業は膨大になります。
・福利厚生制度の利用率に差が出る
→例えば福利厚生の中で「子育て」にフォーカスします。この場合、子育てをしている家庭ではその恩恵を最大限に受けることができます。しかし、子どもがいない家庭や子育てがひと段落ついた家庭では、その恩恵をあまり受けることができないと言えます。このように社員の中でも不平等となってしまうことがあります。
就活生が求めるもの
福利厚生を充実させることは簡単ではありませんが、福利厚生の充実は企業に大きな利益をもたらすと言えるでしょう。
そんな中、実際に就職活動をしている学生は、企業側にどのような福利厚生を望んでいるのでしょうか。マイナビのデータより、上位5位までをグラフにまとめました。

グラフより、家賃補助や社宅・社員寮のように就職活動をする学生にとって家賃補助は学生にとって非常に魅力的だと言えます。
新入社員にとって社会人1年目の生活は心配事がたくさんあります。その状況を踏まえ、家賃補助をしてくれる企業は就職活動を行っている学生にとって魅力的に映ると言えるでしょう。
そこで、家賃補助の充実を鳥取県の企業が推進していくことで、就職活動において鳥取県での就職を選択肢に入れる学生を増やすことができるかもしれません。
最後に
今回は、福利厚生をビジネスの視点から様々な考察をしました。現在の就職活動をしている学生は、福利厚生の充実を企業側に望んでいます。
この事実を鳥取県の企業が人材の採用に上手く活用することによって、鳥取県で就職をする学生が少しでも多くなればと私たちは思っています。
参考文献
R1 マイナビ 「学生就職モニター調査」