次世代

中高生が魅力的だと感じる「学校」創りを

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

私たちにとっての理想の「学校」を創る

 第2部では、Society5.0時代に突入するとともに不確実な時代をさまよう中で、中高生の活動が社会に対してどのような影響を及ぼしているのかについて述べました。

 今回は、私たちにとっての理想の「学校」について考えてみたいと思います。

 日本における近代的な学校制度の歴史は、1872年(明治5年)の学制を筆頭に社会の変化などに適応するかたちで様々な教育改革がなされてきました。先述のSociety5.0時代に突入する中で、今日では2020年教育改革が進められています。

 今回の教育改革では学校教育と大学入試の2つが大きく変わりつつありますが、学習法として注目されているのが『アクティブ・ラーニング』です。これは、能動的に学習する学習法であり、文部科学省では「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習法」と定義しています。

 人格の完成をめざし、国家及び社会を形成する者としての役割を担うことができるように、読み書きなどの基礎的な知識技能の体得を図る「陶冶」と、道徳性や社会的態度の形成を図る「訓育」の両者に相互関連性を見出して行う『訓育的教授』が重要視されるようになりました。

 しかし、ここで問題になるのが『アクティブ・ラーニング』を受けた教員がいないことから、教育の質が保証されないことや地域によって教育格差が生じてしまうことが挙げられます。

 そこで、私は『アクティブ・ラーニング』を受けた学生が自分たちなりの『アクティブ・ラーニング』をデザインしていけば、自ずと「主体的・対話的で深い学び」になるのではないかと考えました。

 そこで設立した組織が『Frontier School』という学校をコンセプトにした任意団体です。当団体は、Society5.0時代を生き抜くことができる自身の「軸」を創ることを目的にしています。

 その手段として自らが理想とする『アクティブ・ラーニング』を用いて、極端な話、自分たちの思い描く理想の学校を創ろうとしています。しかし、それは非常に難しいことであるため、生涯学習の理念と、学校教育の教科外活動にあたる「総合的な学習(探究)の時間」を参考にして活動をしています。

Frontier School が目指す未来

 私たちは生涯にわたって、あらゆる機会や場所において学習をしています。人の生涯という時間軸のなかで得た多様な学びを結合して、さまざまな学びを得るこのような学習を「生涯学習」といいます。

 今まで、学習は学校という場所で為されるものだと認識されてきました。しかし、実際は日常生活における様々な体験がすべて「生きる力」につながり、生涯学び続けることに意味があるという考え方が浸透しつつあります。

 私たちはこの生涯学習の理念に『アクティブ・ラーニング』を取り入れることで「みんなが先生」となるような未来を目指しています。従来の教育では、学校の先生が児童生徒に教えるというものが一般的でした。

 しかしながら、現代の変化が激しい時代になるにつれ、児童生徒より先生のほうが知識技能の面で優れているかというと必ずしもそうではなく、先生も児童生徒から学ぶ機会は多くなってきているようです。

 ましてや、児童生徒同士の中でも先輩後輩問わず教え合うことは多いのではないでしょうか。それは何も勉学に限らず日常の営みそのものが学習になるという生涯学習の概念に基けば、むしろ当たり前のことなのかもしれません。

 だからこそ、Frontier Schoolでは年齢に関係なく各々の自己を主張できつつ他者を尊重して様々な経験や価値観を共有できるように「みんなが先生」にな
ることを目指しています。

Frontier School の組織構想

 Frontier Schoolの理念や組織は約4年間かけて構想したものです。第1部でご紹介した「安部小Project」はFrontier Schoolの下部組織に該当します。つまり、安部小Projectで活動意義を見出しそれを教育的にどうアプローチすることができるのかを長時間かけて考えてきました。

 その結果、自らが理想とする『アクティブ・ラーニング』をデザインすることが「主体的・対話的で深い学び」になるのではないかと考えました。しかし、これをいきなり一斉に始めることは極めて難しいので、段階を踏んで取り組むことができ、かつ学びの循環を促進できるような組織にしました。

 そこで教育心理学や発達心理学をもとに、理論と実践の往還を図ることで現時点で比較的満足のいく組織構想を組み立てることができました。しかし、より充実した組織にするべく2021年冬に改めて組織概要を公表して2022年春より本格始動する方針で計画しています。

Frontier School の今後

 2021年度は主に2つの事業を中心にして行う予定です。まず1つ目は、Frontier School鳥取キャンパスの設置です。これは、町教育委員会が文化創造拠点の開所に向けて行う旧安部小学校改修工事に併せて教室の一部をキャンパスにするものです。

 このキャンパス設置においても『アクティブ・ラーニング』による「主体的・対話的で深い学び」を追求します。まず、Frontier Schoolに所属する各大学の教育学部生が背景理解をした上でキャンパス構想を組み立てるワークショップを行います。

 その後、キャンパス設置を題材にした指導案を作成し、実際に中高生に対して授業を行います。この授業は、総合的な学習(探究)の時間の延長線上的な位置付けで行い、自ら課題を発見し解決を図る中で探究的な学習に繋がる力量を高めることを目標とします。

 2つ目は、工学系Projectの設置です。安部小Projectと同じようなProject制度を採用した工学系の組織を新しく設置する予定です。こちらは、Frontier School鳥取キャンパスを活動拠点として、プログラミング技術による地域課題の解決をアプローチするProjectです。

 プログラミングにおける概念の理解と課題解決能力の育成を目指します。
2022年度以降の詳細となる方針はまだ公開しておりませんが、鳥取県以外での活動進出や新規Projectの設立に向けた準備を進めています。

 また、2025年度頃を目処に法人格を取得することを検討しています。

最後に

 第1部から3回にわたってご覧いただきありがとうございました。私は「教育」こそが豊かで幸福を追求できる営みだと考えています。今後も教育は社会の変化に応じるかたちで変わっていくものと思います。

 今後も理想とする教育について追求していきたいと考えています。今回は、私の考えを稚拙ながら綴らせて頂きました。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

プロフィール

氏名:内田奏杜

所属: 岡山大学教育学部

経歴 : 平成13年、鳥取県八頭町生まれ。安部保育所、安部小学校を卒業して鳥取市の青翔開智中学校・高等 学校に進学。平成30年に中高生団体『安部小Project』を設立し、令和元年に『SustainableGame』 に所属。自己理念『モノではなく心』を胸に『子どもたちの“学び場”を創る』という未来像を達成す るため日々奮闘中。 Frontier Schoolを構想中。

連絡先:k.uchida.14124@gmail.com

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket