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会社説明から内定まで、オンラインでできる新たな就職方法「Web就活」

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新型コロナウイルスによって合同説明会が中止になる中、鳥取で動き出す新たな取り組み

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、合同説明会が相次いで中止になる中、令和2年3月末に、鳥取大学でインターネットを活用した就職活動について学ぶ体験会「新型コロナ問題に負けるな!web就活体験会」が開かれました。

 この体験会では、学生にインターネット就職説明会や面接、採用活動などの方法を知ってもらうために、とっとり就活Labと鳥取大学が開催しました。オンライン通話システムを使って県内企業による会社説明会が行われ、学生は事業内容の説明を受けたり、チャットを使った担当者への質問が行われました。

 今回は「Web就活体験会」の主催者の1人である山口翔馬さんに、web就活に対するお考えやWeb就活を広める上で感じていらっしゃる課題などを聞いてみました。また、実際に私がこのWeb就活体験会に参加して感じたことなども載せております。

山口翔馬さんへのインタビュー

とっとり就活Labの山口翔馬さん

Q1.改めて「Web就活」とは何ですか?また、これからの就活について教えてください。

 今まで、対面接触前提での就活イベントが主だったと思うのですが、Web就活ってものは直接その場所に行かなくても企業さんと会えて、企業のことが知れて、何なら選考までその場で受けることができる。だから自宅で内定がゲットできるという可能性があるのが「Web就活」だと思います。

 あくまでも僕の個人的な意見ですけれども、新型コロナウイルスの影響で、テレワークや、Web就活という流れが強まってきていると思います。しかし、コロナウイルスが収束した後でも5Gなどの無線通信システムがどんどん商用化されてきていることから、あらゆる行動のリモート化が発展する可能性は凄く高いと思います。

 通信システムの進化で何が見込めるかというと、これからオンラインで同時接続するときに遅延がほとんどなくなるのです。だから、より「直接行くよりも、やっぱオンラインでいいや」ってなる方が多くなると思います。Web就活でいうと、会わなくてもよかったり、そこに行かなくてもよかったりするメリットが大きくなると思います。

Q2.なぜ「Web就活」を始めようと思ったのですか?

 何となく企業を定めてあったりだとか、ある程度企業を知っているようであったりして、既にインターンシップに行かれたりしている学生さんは大丈夫だと思います。しかし、そうではない学生さん。

 主に三月初めの就活解禁から動き出す学生さんが、この新型コロナウイルスの影響を受けた時のダメージが大きいと思って、そのような学生さんの背中を押したいというのが僕の一番の始めたきっかけでした。

 もちろん対面接触はしないということが原則であるので、今のこの感染拡大を防止するためというのもきっかけにあります。

Q3.Web就活を普及して行く上での課題などはありますか?

 これは学生よりも、企業さんへの課題の方が大きいのではないかと私個人は思っています。と言いますのも学生さんは、普段から新しいものに慣れていると思うのですが、企業さんに関しましては、なかなか新しいことに挑戦しづらい。

 それこそ意識的に避けていたり、直接会う方が良いと思ったりしている方もいます。でも、知らないからやらないっていうのは通用しないし、知らないからやらないでいたら時代の流れに乗り遅れてしまうと思います。

 今、都市部の企業さんは、最新のツールを使って情報や採用の場を提供しています。そして学生さんはそのような提供してくれている方に行きます。本来地方にもいい企業があるのに合説がなくなって、地方の企業を知れないから都市部に行ってしまうという流れを僕はもったいないと思っています。

 Web就活を普及していくためには企業のノウハウや、Web就活のリテラシーを高めていかなくてはならないということが課題点だと思っています。

 今回のような取り組みを重ねていくことで、関わっていく人や企業さんを増やすことが課題解決のための方法だと考えています。

Q4.今回のような体験会以外でWeb就活を広める方法があれば教えていただけますか?

 Web就活って広い意味で色々あって、YouTubeチャンネルで、合説の動画が見れるようにするのもWeb就活だと思います。なので、そのようなことも含めて、直接同じ時間に会うのではなくて、好きな時間にセミナーや、説明を受けられる機会を増やすという方法などが考えられます。

Q5今回のWeb就活体験会で伝えきれなかったことはありますか?

 Web合説というのは正しく機能を使うことが肝だと思っていて、現実の空間では同時での会話はできるけれども、基本的にオンラインの場では皆が同時に話すとごちゃごちゃしてしまいます。そこで、話す人以外の声をミュートにして一対一の会話ができるようにしなくてはなりません。

 ミュートしている人達の意見を聞くためには、チャットの機能がすごく大事なのです。しかし、チャットをしっかりと使えている子が少なかったことから、もっとチャットを気軽に使う方法をお伝えできればよかったのかなと思いました。

Q6.まだWeb就活を知らない方々へのメッセージはありますか?

 知らないからほっとこうでは、全然動けなくて、まずは時代の流れに乗ってみることが僕はすごい大事だと思っていて、流れに乗った上で、合わないのであればそこはもう選択肢から外せばいいと思うのだけど、流れに乗り遅れてしまうと、なかなかスタートする時期が分からなくなってしまうと思うので、時代にうまく臨機応変に対応していってください。

 それこそコロナの影響は色んな所で「~ができない」と言われていますけど、それを「何をするチャンスなんだろう」って考えていくことがすごく大事なんだろうと思うようにしていってほしいです。

 知らないことにも挑戦し、自分事だって捉えてください!

 誰も自分の将来のことを決めてくれないです。けれど、その将来を決める手助けをしたいと思っている人は僕だったりだとか、大学の先生だったりだとかいろんな周りの大人がいるから、それをうまく使っていいと思います。

実際にWeb就活体験会に参加してみて

 実際に私もこの「Web就活」体験会に参加いたしました。私にとって初めての合同会社説明会がオンラインになるとは思っても見なかったです。

 会場には、来年の春就職に向けて活動している大学3年生が2人と、インターネットを使って自宅などからオンラインで参加している生徒が5人いました。複数の人が画面に顔を映しながら同時に会話ができる会議システム「zoom」の操作方法を楽しく学びながら、鳥取県内企業さんの説明を聞くことができました。

 しかし、企業紹介が県内企業のみとはいえ、参加学生の人数の少なさに驚きました。山口さんが「Web就活の課題点」として、企業側の課題に着目していらっしゃいましたが、「まだWeb就活について知らない方へのメッセージ」でおっしゃられていたことを私は学生さんに強く伝えたいと思いました。

 おそらくですが、学生の中には、まだまだ「Web就活」というものが社会浸透しておらず、今年就活を始める自分にとってはまだ関係のないことだと考えた人たちも少なくないと思います。

 参加学生の少なさは今の就活生たちの何事も自分事として考えるという意識が低いことを表していると感じました。勿論、全員がそうではありません。中には県外企業のみを考えていたから参加しなかったという生徒も多いと思います。

 しかし、今回の体験会は企業説明会よりも、Web就活でよく使われるツールの操作を学べる会という印象が強いと感じました。就職希望先が県内外に問わず、企業に就職を考えている学生にとっては十分参加する意義があり、もっと多くの参加者を増やすための工夫が必要だと考えます。

 参加者が集まらなかったことは、主催者側、企業側、学生側のそれぞれの考えがまだまだ一致していないのではないかと感じました。

 これは私の個人的な意見ですが、企業は「Web就活」へのシフトに積極的になること、学生は知らないことでも一度体験してみる心意気を持つこと、学校側は就活生の参加を最優先にしながらも、まだまだ就活について考えていない新2,3年生にも呼びかけをし、良い刺激を与えるきっかけを作ること、がより進んで行くと良いなと思います。

最後に

 いずれ最新機器の扱いに慣れた今の学生が企業側に立った時、「Web就活」へのシフトはより容易なものになると思います。そして、これからは私のように、初めての合同会社説明会がオンライン上のものだったという方も増えていくと思います。

 自分事だと思えず「知らないからやらない」や「やったことがないことはやらない」という考えを持つ人達、企業の意識改革が求められていると思います。

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