地域のプレイヤー

あなたは子どもの人生を生きているだろうか

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はじめに

 私は3人の子ども達の父親で、鳥取大学生の地域連携活動をサポートする大学のスタッフです。現在の仕事は最高に楽しく、学生のため・地域のために自分が動いた分だけ成果も上がり、遣り甲斐しか感じません。何時間でも働けます。もはや働いているのか趣味なのか、今の仕事が続けられるのであれば職場も選びません。

 一方で「早く帰って子ども達と遊びたいな~」と、毎日そればかり考えています。私の一番の趣味は仕事ではなく子ども達と遊ぶことです。 今回は子ども達をそれぞれ1人の人間として応援し、彼らの人生を自分が如何に生きているかという内容を書かせていただきます。

 ただ、「俺の子育て論を真似すべき!」とか、「子どもがいないと人生に意味がない!」ということが言いたいわけではないので、子どもと向き合う一人の親の例として眺めていただければ幸甚です。

自己紹介

 突然ですが、「自己紹介をしてください」と言われた時、あなたは自分を何と紹介するでしょうか?勤務先や職種、現在取り組んでいる業務や仕事以外のポジション(PTA会長など)もあるかもしれません。

 最近だと「プロボノ」や「ダブルワーク」など、複数の肩書を持つ動きがありますが、私は「3人の子ども達の父親」が一番の肩書です。お子さんをお持ちの方は、子どもがいないと自分に何が残るのか不安という方が多いのではないかと思いますが私は正にそれです。子ども達がいないのは最早考えられません。

子どもを捨てた1年

 子ども達がいないのは最早考えられないと言いながら、子どもとの関係性に大きく変化があったのが平成29年4月~東京に勤務した1年間で、子ども達を嫁に任せて単身赴任をしました。文部科学省の研修生という立場でしたが、国家政策とダイレクトに直結する業務に遣り甲斐を感じ朝から晩まで時には日曜日の夜まで職場で仕事に没頭しました。

 この間、仕事ばかりで家庭のことはほぼ考えられず、実質子どもを捨てた1年間でした。 そんな時、その精神力が認められ、研修9か月目に上司から転任のお誘いをいただき、このまま文部科学省に転籍してキャリアを積み上げるか、鳥取に戻り家族と暮らすかの選択に迫られました。

 自らのキャリアと家族のキャリアを天秤にかけた時、家族を捨てて自分が出世して誰のため何のためになるのか?と強く思い、結局1年間で鳥取に戻ることとしました。この1年間で自分が最も大切にするべきものについてより明確になりました

子どもの人生をかけたプロジェクト始動

 東京で離れていた一年間の空白を埋めるため、また、改めて家族のために生きていこうと決意したこともあり、帰鳥後はこれまで以上に子ども達の人生を考えるようになりました。

 特に2019年は長男が小学5年生~6年生になる時期で成長の転換期を迎えていたこともあり、彼の人生をかけたプロジェクトを立ち上げて活動を始めることとしました。はじめに彼の関心事を棚卸しした結果、小さい子どもと一緒に遊ぶのが好きということから子ども達のために「世の中にないおもちゃを作る」というテーマで親子の挑戦を始動しました。

 このプロジェクトでは、卒園した保育園の調査や親子へのインタビュー調査、鳥取市内で玩具製造販売を行うイッポラボ合同会社へのインターンシップなどを経て、わらべ館で開催された「鳥取世界おもちゃ博覧会30周年記念事業オープニングイベント」にて中間報告のプレゼン発表を行いました(取り組みの詳細はこちらの発表スライドを参照)。

 知らない親子にインタビューする、類似事例を調べて参考文献を読み新しいアイデアを出す、自分のプロジェクトを人前で臆せずにプレゼンするなど、貴重な経験を得ることで人間的に成長してくれましたが、想定外に得られた経験もありました。

 現在はSDGsなどの流れもあり、子ども達の世代は間違いなく世界に目を向ける必要があります。息子はイッポラボの田中代表が取り組む「demi(ドゥミ)プログラム:商品が購入されるごとに開発途上国の子どもたちに学習道具を提供する」に感銘を受け、自分でお金を稼ぎ同様に海外の子ども達を支援したいと言ってくれるようになりました。

 ただし、まだ「開発途上国の子どもたち」が自分事にできていませんので、2020年に親子で東南アジアの現地小学校へスタディーツアーに行く計画を立てており、寄付していただいた積み木を現地の子ども達にプレゼントして遊んでもらおうと考えています。この貢献は世界レベルで見れば極めて小さなことですが、息子の人生においてどれだけ貴重な経験となるのか、今から非常に楽しみです(執筆時:2019.12)。

最後に

 最期に自戒を込めて自分に言葉を贈ります。仕事を優先して過剰に働いていたら、いつの間にか子どもが大きくなり親としての役割が終わってしまっていたという笑えない状況にならないように。趣味や生き甲斐は定年後に見つければいいかもしれませんが、子どもの成長はそうはいきません。

 あなたは自分よりも子どもを優先しているでしょうか?あなたは常に子どものと全力で向き合っているでしょうか?もし明日死ぬとして、子ども達に胸を張って死ねるでしょうか?あなたは子どもの人生を生きているでしょうか?

 ゴールや休憩はなく毎日が自問自答自責の日々ですが、私は子どものためにやれるだけのことをやりきって最期を迎えたいと思います。拙い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

プロフィール

氏名: 森田将悟

所属:鳥取大学

経歴:
平成16年~鳥取大学職員(高卒で就職)
平成19年 長男誕生
平成21年 長女誕生
平成23年~3年間鳥取銀行に出向しビジネスマッチング業務を担当
平成23年 次男誕生
平成28年 鳥取大学学長表彰(社会貢献賞)を受賞
平成29年~1年間文部科学省に出向し国会業務を担当
平成30年~現在の業務を担当

連絡先:s-morita@tottori-u.ac.jp

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