最低賃金とは
最低賃金とは、労働市場のセーフティー・ネットとして、法律で定められた最低限支払わなければならない時給を示します(Wikipedia)。
また、労働者や使用者の代表と有識者による審議会で年に1回、最低賃金の目安が定められます。この目安を基に、各都道府県がその年の8月下旬までに最低賃金の金額を決定していく流れとなっているのです。
それに伴って、最低賃金は各都道府県によって異なり、高いところでは2019年の東京で最低賃金が1013円となっています。
都市と鳥取の間で広がる差
一般的に地方の最低賃金は低くなる傾向にあると聞きますが、地方である鳥取県の最低賃金はどのくらい低いのでしょうか。全国平均との違いを見るために、2015年~2019年までの鳥取県の最低賃金の推移を次のグラフにまとめました。
このグラフを見て分かる通り、鳥取県の最低賃金は常に全国の平均を下回っていることが分かります。それに加え、僅かながら全国平均との差が開きつつあると言えます。
また、2015年~2019年までの間、日本の最低賃金は常に増加傾向となっており、労働環境が以前より向上してきているのではないかと考えます。
グラフの値より、鳥取県の最低賃金は2015年~2019年までの間で、全国平均と約100円の差が開いているのです。これは、東京や大阪・神奈川などの都市と鳥取県などの地方との間に、大きな経済的な差があると言えます。
注目を集める鳥取県の対応
地方と都市との間で経済格差が広がりつつある中、新型コロナウイルスによる経済的な影響により、「今年度の最低賃金の引き上げの目安を示さない」と2020年7月22日に厚生労働省が発表しました。最低賃金の引き上げ目安を示さなかったのは、リーマン・ショックがあった2009年度以来となります。
リーマン・ショックは、日本の実質GDP成長率に大きな影響を与えました。2008年では実質GDP成長率がマイナス1.0%、2009年はマイナス5.5%となりました。
新型コロナウイルスの影響は、このリーマン・ショック以上になるのではないかという考えもあるため、鳥取県でも雇用内定の取り消しや失業数の増加が懸念されます。
このようなことから厚生労働省は、各都道府県に最低賃金の金額の決定をするにあたって、その地域の雇用情勢などを踏まえて対応するように求めました。
新型コロナウイルスによって経済的に大きな影響を受けたため、労働者にとっては「最低賃金引き上げ」を、使用者側は「最低賃金の現状維持」を望む声が多いのではないかと考えます。この両者の主張は、鳥取県でも顕著に見られるのではないかと考えます。
そのため、鳥取県では労働者と使用者の両方を支援する取り組みを行った上で、「最低賃金の引き上げ」について深く考えていく必要があるのではないかと考えます。