2020年に入ってから5Gの導入やテレワークなどの普及により、私たちの生活からインターネットはこれまで以上に欠くことができない存在となっています。IT技術を使う機会が増加したことによって、電気代が以前よりも高くなったと感じている人もいるのではないでしょうか。
それぞれの地域にかかる電気代
少し古いデータになりますが、資源エネルギー庁のデータ(2017年6月の大手電力と新電力の平均値)をまとめると以下のようになりました。
グラフから見て分かる通り、地域によって電気料金単価には大きな差があると言えます。ちなみに全国平均は22.4円/kWhです。鳥取県で主な電力会社の中国電力と北海道電力とでは、1kWh当たり5円以上の差が出てきます。
日本の一人暮らしの一日の消費電力量は平均で6.1kWhとなっています。この数値より、中国地方の一人暮らし世帯と北海道の一人暮らし世帯の一日当たりの電気代は、円の差が生じます。これが1か月(30日とする)では915円、一年では、10980円もの差が生じるのです。この差は、家庭だけではなく企業にとっても大きな影響があると言えます。
電気代の違いによるITの技術革新の差
ビジネスにおいて特に電気代の影響を受けるのが、IT業界であると言えるのではないでしょうか。IT業界では、一日当たりの消費電力量が非常に多く、電気代をいかに抑えるかが企業の戦略にもなっています。
このように、ITの技術革新を妨げている一つの要因に電気代が挙げられるのではないかと私は考えています。
ここで、IT技術の最先端であるアメリカと日本の電気代について見ていきます。前述した通り2017年の日本の電気代の平均は22.4円/kWhです。一方、2016年のアメリカの電気代は約10~15円/kWh(比較する年が違うことをご了承ください)となっています。
この電気代の差はかなり大きな影響を及ぼすと考えられます。仮に、日本とアメリカのIT技術の成長スピードと開発に用意された予算が同じであったとしても、電気代の差の分だけアメリカは日本よりも設備などに投資することができると言えるのです。
これらのことから、IT業界の発展に少なからず電気代が関わっているのではないかと考えています。
ITの技術革新と鳥取県
新型コロナウイルスによって、テレワークやリモートワークが広く普及するなど、私たちの働き方が大きく変わりつつあります。私たちは必ずしもオフィスに行く必要がなくなったことで、消費電力量が多いIT技術を使う部署だけを電気代が抑えられる地域に拠点を移すということも、ITの技術革新を考える上では有効な手段となるのではないかと考えます。
このような視点から考えると、鳥取県はITの技術革新を支える地域になる可能性が十分にあると言えます。これまで東京にオフィスがある企業の技術者たちは、地方で仕事をする機会があまり多くなかったのではないかと思います。
しかし、新型コロナウイルスの影響で私たちの働き方が変化したことによって、地方にいながらも仕事ができるようになりました。その結果、IT技術を使った業務の一部を電気代が安い地方で行うことによって、企業のコストを節約することができます。
その節約したコスト分を企業の他の部分に割り当てることで、企業に対して様々なメリットが生じます。また、地方側で考えてみると、都会とのIT技術の差の広がりを抑えることができ、地方の就職先も増えるというメリットが生じるのではないかと考えます。
これらのことを踏まえ、他の地域よりも電気代にかかる費用を抑えることができる鳥取県は、これからのITの技術革新を支える地域になる可能性があると言えるのではないでしょうか。