所得から鳥取県を見る
地域格差がどんどん広がっているとされる今の日本。この状況の中で、日本を都市と地方で分けた時、鳥取は地方の枠組みに入ると思います。
実際にデータを見ることで鳥取の位置付けを客観的に把握していく必要があります。今回は所得という面に着目して見ていきたいと思います。
鳥取県の所得が全国で41位
2018年に行われた厚生労働省によるある調査の結果、鳥取の県別平均年収は41位ということが分かります。上のグラフにもある通り東京が622万2900円なのに対して鳥取は390万2200円でその差なんと232万700円もあるのです。
グラフの通り最下位である宮崎県と比べると大した差はありません。
鳥取県の市町村別平均年収
次に全国で1741の市町村がある中で鳥取県各市町村の平均年収の全国順位を見ていこうと思います。同じく2018年総務省発表の資料より算出されたものです。
全国の中間から最下位近くまでを広く占めているようです。
649位の日吉津村と1720位の若桜町では、約70万円近い差があります。
鳥取県の市町村を東部・中部・西部に分類する
また鳥取の市町村だけを所得の多い順でグラフに表し、「東部を青」「中部を黄」「西部を緑」で色分けすると次のようになります。
上記のグラフより、一定の偏りが確認できます。
まず、西部の日吉津村・米子市・境港市といった地域が所得の高い傾向にあることが分かります。
また、東部は鳥取市とその他市町村と大きく開きがあることも分かります。
ポジティブな側面に向き合っていく
私は現在、児童クラブ(いわゆる学童)で働いています。約半年働いて思ったことがあり、私の地元である福岡に比べて学童を利用する家庭がとても多いことです。
地元では子どもの数が減って学童がどんどん減っていっているという話をよく聞きますが、鳥取はそれとは逆で小学校の中にある学童だけでは足りず、公共施設の部屋を借りるなどしてどんどん学童保育の市場規模が大きくなっています。
ある話によると、鳥取は賃金が少ないことから共働きの家庭の数が他県に比べてとても多く、放課後に子どもの世話を代わりにしてくれる学童保育の需要が高いそうです。
鳥取には鳥取のビジネスチャンスが隠れているのかもしれません。
明石市の事例
地方が人口減少に陥る中、若者が地方から流出することが問題になっています。若者が帰郷しない理由の一つが、所得です。
少し話は変わりますが、兵庫県の明石市が人口のV字回復に成功した話をご存じでしょうか?
決めては「子育て支援」でした。
所得制限を設けずに、中学生までのこども給食費,医療費や第二子以降の保育料の無料化など「こどもを核としたまちづくり」を進めていました。
世界の諸外国で見たら珍しいことではない政策でしたが、日本ではまだ行われておらず全国初の取り組みだったそうです。
その結果、人口約29万8,000人で2012年まで緩やかな人口減少が続いていた明石市でしたが、2013年から増加に転じ、2017年8月以降、毎月のように過去最高の更新を続けて文字通りのV字回復を達成したのです。
その結果、子育て関連の事業に取り組む会社が増え、飲食店も活気付いたと報告されています。
このことから子育て世代の増加は地域経済に大きな好循環をもたらすことが考えられます。
詳しい明石市の話はこちらのリンク 「明石市の対策」よりご確認ください。
鳥取県は子育てのしやすい県としてPRをしています。明石市の事例は鳥取県にとって大いに参考になるかもしれません。
より、制度面や民間の取り組みを盛り上げ、全国に発信していくことは、人口増加だけでなく、所得の向上にも繋がるかもしれません。