事例

タクシーが食事を運んでくれる「いなばのごちそうタク配」への思い|有限会社サービスタクシー

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いなばごちそうタクシー

鳥取市内の「タク配」が300円?!

 5月14日に「いなばのごちそうタク配」が鳥取ハイヤー組合と鳥取市がコロナ対策支援事業の一環として事業を開始した。旧市内であれば一律一回300円で利用できる。

 利用客は飲食店に注文し、タクシーで届けてもらった際に料理の代金と「タク配代」300円をドライバーに払う仕組みだ。この事業は5月15日から3か月間行われる

今回は、その事業を担っている有限会社サービスタクシー代表取締役の松浦秀一郎さんに、事業への思い実現するまでをインタビューした。

有限会社サービスタクシー 代表取締役 松浦秀一郎さん

コロナ禍での新たな取り組み

 夜間の営業においてタクシーは、基本的に飲食店とその利用客に支えられ仕事をしてきた。そのため夜の街が動かないとタクシーは商売ができない。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響が出ていた4月当時を松浦さんは「日ごろからお世話になっている人たちに貢献したかった。テイクアウトを始めた飲食店と外出できない人々をタクシーはつなぐことができるのでないかと考えていた」と振り返る。

 そこで目をつけたのが「救援事業」だ。これはタクシーの提供する役務として多くの会社が届け出している事業で、日用品や食料品などの買い物代行や通院の付き添いなど地域住民に寄り添った個別対応ができる。

 コロナが問題になる前でも行われていたが従来のタクシー業務で忙しく、その届け出内容を積極的に売り出すことはなかった。

 問題が深刻になるなか松浦さんは急いで届け出ていた内容を整理し、タクシーで食事を運べるようにリブランディングした。鳥取の中では早い4月14日からの開始で、この時はサービスタクシーのみの企画だった。

 救援事業を届け出した当時は料金も設定されていなかったので、タクシーの時間貸切運賃(30分あたり2850円)を応用し、10分ごとに950円とした。

 しかし、会社など団体で昼食時に頼まれることはあっても、一つの家庭で払うには料金が高く利用は少なかった。とはいえ、タクシー運賃をもとにした料金を下げることは、ただでさえ客が遠のいたドライバーには納得されにくい。

 一方、そのころ米子市では、行政の助成事業として「食べて応援! 米子のごちそうタク配」が5月2日から開始された。冒頭に述べた鳥取市のタク配事業とほぼ同じ仕組みで、こちらは1回500円。

 その開始から2,3日後に鳥取市から松浦さんに連絡があり「市内のタクシー会社が連携して宅配事業をできないか」との打診を受け、事業者間の合意を経て2週間で今回の事業が実現したという。

「まず始めよう!」という姿勢で

 この動きを「鳥取市民はなかなか動かないというイメージがあったけど、今回は米子の前例などもあって『まず始めよう』という前のめりの姿勢がよかった。300円というのもバスの往復運賃並みでいい料金設定になった。

 事業者だけの取り組みではこの料金は無理なので、経済の循環にはやはり行政の支援が必要になる」と評価する松浦さん。

 外食が減ってしまった人には「地元の美味しい味覚を覚えておいてほしい。せっかく元気に仕事している人が多いのに、店に行かなくなって味を忘れるのがもったいない」と事業の利用を期待している。

 また、外出しにくいこの状況を受け、こんなことも提案している。「この機会を利用して、ライフスタイルの変化を楽しめばいいのでは。自分もサービス向上のためによく利用していて、たくさんのメニューの中から選び昼に出来立てが来るのは今までと違いやっぱり楽しいですよ」。

「いなばのごちそうタク配」のチラシ

終わりに

 今回の新型コロナの影響は私たちの生活を大きく変えています。それを受け、4月ごろから全国的に飲食店がテイクアウトを始めた動きと共に、東京などではUberEATS(ウーバーイーツ)が注目を浴びていました。

 そんなニュースを見て「鳥取じゃあ無理だなー」と勝手に思っていた自分がいました。そのため今回、「タクシーが宅配」するというアイデアを見た自分は「鳥取でもそのようなサービスができるのか!」という驚きと「想像できなかった」という悔しさがあります。

 街の中でタクシーがインフラとして機能しつつ、個別対応ができる強みを毎日のように見ているのに、考えもしていなかったのだと気づくことができました。

この3か月間「タク配」が鳥取でどのような影響を与えるのか楽しみです。

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