地方自治体の存在危機
総務省によると、日本人の人口は平成20年の1億2,808万人をピークに、12年連続で減少し、令和2年1月1日に総人口は1億2602万人となりました。
歯止めの利かないこの人口減少ですが、地方にお住まいの方々が心配なのは今住んでいる地域が自治体としての存在を維持できるのかどうかではないでしょうか？
そして日本創成会議は「消滅可能性都市」という言葉を作りました。「消滅可能性都市」とは何か、鳥取の消滅の可能性のある自治体はどこなのかをデータに基づいて見ていきたいと思います。
「消滅可能性都市」とは
「消滅可能性都市」という言葉を1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか？
その厳密な定義は「2010年から2040年にかけて、20 ～39歳の若年女性人口が 5 割以下に減少する市区町村」で、2014年に民間有識者でつくる日本創成会議が打ち出した考え方です。
人口流出・少子化が進み、存続できなくなるおそれがある自治体を指し、全国の自治体の約半分の896自治体及び、うち人口1万人未満になる523の自治体は、実際に消滅してもおかしくない危機にあると指定して、早急な人口対策を促しました。
鳥取における消滅可能性のある自治体
上記の定義より、例年続く鳥取の人口減少によって消滅可能性都市と考えられる自治体を見ていきます。
「日本創成会議・人口減少問題検討分科会より提言された記者会見資料 (http://www.policycouncil.jp/pdf/prop03/prop03_2_1.pdf)」より算出された若年女性人口変化率（2010年→2040年）をご覧ください。
太文字の市町村は、人口移動が収束しない場合において、2040年に若年女性の減少率が50％以上であり、人口が１万人未満の市町村です。
鳥取県は19の市町村のうち10市町村が消滅可能性都市なのです。なんと半分以上もの市町村が消滅の可能性があるのです。
全国で見ると中国地方の消滅可能性都市の割合は高くない！
上の円グラフより、実は日本創成会議によると全国人口変化率が高く消滅可能性都市とされる自治体は北海道,近畿,東北地方に多い傾向にあり、中国地方は該当都市が最も少ない地方なのです。
1位である北海道には市町村の数が179か所もあり、他の地方についても都道府県の数が多く、このような結果になったと考えられます。
しかし、これはあくまで県ではなく地方という広い視野で見た時の話であって鳥取県が全国的に見て消滅可能性都市の少ない県だとは言い切れないのでご注意ください。
東京の消滅可能性都市「豊島区」が起こす、本気の「まちづくり」について
東京都豊島区が起こしたまちづくりについてご紹介いたします。 豊島区は人口増加傾向にありながら、転出入が活発で、定住率が低いこと、単身世帯の割合が多いこと、さらにその半数が若年世代だったことから、2014年に消滅可能性都市に指定されました。
そこで豊島区は住んでいる人に焦点をあて、豊島区で暮らす面白さを伝える区のオウンドメディア「としまscope(https://toshima-scope.city/)」を制作したり、「としまぐらし会議」という住民参加型の企画で、区政をより身近に感じてもらう機会の創出に取り組み、豊島区で暮らす魅力の発信に力を入れていったのです。
その結果、地域内外に豊島区の魅力が伝わるようになり、地域の商店が大いに賑わうようになったそうです。また、事実としてTOTTORI BUSINESS ONLINE の編集チームにまで情報が届いています！
東京という都市の中で、人口自体も増加傾向にあり、現段階で消滅の危機に直面したわけではないにもかかわらず、先を読んでこのような対策を講じた豊島区には驚かされました。
詳しい豊島区の情報はこちらのリンク「 https://turns.jp/19245 」よりご覧ください。
最後に
鳥取県の半数以上の自治体が消滅可能性都市であることをご存知だったでしょうか？
豊島区の対策事例から、住民が一体となって地域の魅力を知ることの大切さが改めて感じられます。
鳥取県が今、どんな対策を取ることができるかどうかが、今後に大きな影響を与えることは間違い無いです。鳥取県に就職したい若者を増やすために、いかに魅力的な地域にしていけるかが問われています。
この「TOTTORI BUSINESS ONLINE」でも鳥取で活躍する方々の営みを最大化できるよう全力で発信し続け、鳥取県がもっと魅力的な県として多くの人に認知していただけるよう努めてまいります。