データで見る鳥取

鳥取県で新型コロナウイルスの発生が遅かったワケとは

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鳥取県にもコロナウイルスの感染者が確認されました

 先日4月10日に長い間、新型コロナウイルスの感染者を出していなかった鳥取県で、陽性患者が確認されたというニュースを見て、実際に鳥取に住んでいる私がふと思ったことがありました。

 「都道府県によって新型コロナウイルスの感染者数が発生するスピードに違いがあるのは、県内人口の多さに関係があるのではないのか。」

 そのように私が思い至った理由として、鳥取県は全国で人口が最下位であり、実際に新型コロナウイルスの感染者が出た県で鳥取県は全国で46番目だったからです。

 しかし、別の観点では「人口密度」の方が関係しているという話もよく耳にします。政府は、三つの密「密閉、密集、密接」を避けるように呼び掛けていることからも、人々の密集度合いを表す各県の人口密度の方が関係しているのかもしれません。

 本記事では、鳥取県での新型コロナウイルス感染者の発生が遅かった原因について、人口や人口密度の関係性を数値的に求めて比較をしていくことで確かめていきたいと思います。(あくまで、アバウトな計算であることはご了承ください。)

 また、定量情報から読み取れる情報によって、判断することの大切さについても言及しています。

感染者数と人口・人口密度の関係

 まず、2019年10月の直近の国税調査確定人口を基にした「県別推計人口」と「人口密度」の順位と、都道府県別の新型コロナウイルスの感染者数を表したグラフは次のようになります。

出典:ランキングデータ
出典:NHK 特設サイト 新型コロナウィルス

 次に「人口と新型コロナウイルスの感染者数の散布図」と、「人口密度と新型コロナウイルスの感染者数の散布図」が次のようになります。

 散布図を少し見ただけでは、どちらの相関が強いのかは分からないので、それぞれの相関係数(1に近ければ近いほど相関が強くなる)を求めます。結果は次のようになりました。

「人口と県別新型コロナウイルスの感染者数」の相関係数: 0.896411

「人口密度と県別新型コロナウイルスの感染者数」の相関係数: 0.924482

 どちらも強い相関があることには変わりありません。しかし、人口よりも、人口密度の方が新型コロナウイルスの感染者数との相関が強いことが分かります。

 ここで、注意していただきたいことがあります。それは、相関関係と因果関係は別だということです。

 人口密度と県別新型コロナウイルスの感染者数がとても強い相関があることが分かりました。しかし、単に二つの数字に関係性があっただけで、人口密度が高いから新型コロナウイルスの感染者数が高いというように、どちらが原因でどちらが結果というわけではありません。

 感染者数は、人口と人口密度の二つの要素が大きな要素であると言えるだけです。

鳥取県の人口と新型コロナウイルス

 統計的には人口より人口密度の方が新型コロナウイルス感染者発生に強い相関があると判断されます。  

 鳥取県は人口と人口密度の両方が全国的に見ると低いです。よって新型コロナウイルス感染者の発生が遅かった原因は、広く見て鳥取県の人口による影響が強いのではないかと思われます。

最後に

 読者の中には、本記事を読んでいただく前から、県別感染者数と人口や人口密度との間に関係性があることや、鳥取県の新型コロナウイルスの感染者発生が遅かった原因も鳥取の人口に関係がある考える方は多いと思います。

 また、他のメディアの報道や記事などで同じような推測がされていることから、実際に強い相関があったことに対して、それほど驚かれた方は少ないと思います。

 TOTTORI BUSINESS ONLINEを含めたメディアやSNSの情報は、定性情報ばかり信じるべきではなく、定量情報を自分で求め、自ら考えることが大事なのではないかと思います。

「健康にいい影響がある」と言っても、健康成分が1%入っているものでも90%入っているものでも、表現としてどちらも健康には良い影響があると言えるのです。

 数値的な情報を見て判断する方がより客観的な結果が求められると思います。

  また、今回は着目した要素が「人口」と「人口密度」だけで、それ以外の要因には言及していません。

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