はじめに
「価値への挑戦者」が鳥取市河原町のある谷に集まっている。ものが溢れる時代に“人の手”によって価値を生み続けている工芸作家達が西郷谷にいるのだ。
今回の連載では、工芸作家を中心に“営み”について、インタビュー形式でお話を伺っていく。
「手仕事」に向き合い続ける「営み」から豊かに生きるヒントがあるように思う。価値とは?文化とは?生きるとは?それぞれの作家の生き方やその背景にある価値観や思想などを、じわりとお伝えしていきたい。
“いなば西郷 工芸の郷”とは?
「いなば西郷 工芸の郷」は、白磁作家で人間国宝になられた前田昭博さんが河原町西郷地区の現状を踏まえ、「ものづくりの郷」にしたいという思いから提唱された。
工芸作家が自由な考え方をもとに切磋琢磨し、お互い影響を与えながら制作に打ち込み、文化人やファンなども巻き込み新たな工芸を西郷から発信していく構想である。
行政、商工会議所、いなば西郷村づくり協議会が連携し、2016年には推進母体となる「一般社団法人西郷工芸の郷あまんじゃく」が誕生した。
新人工芸作家の招へいや「西郷工芸まつり」など活発に工芸の郷づくりに取り組んでいる。
なぜ工芸作家さんにインタビューするのか?
工芸品は今までの伝統や歴史も受け継つぎながら、移り変わる時代や流行のなかで現代まで残ってきた背景がある。
工芸作家は脈々と続いてきたものを背負いながら、時代や環境、自己などに対応し時に葛藤しながら、作品をつくりあげている。
工芸品は先述のような様々なものと対峙し向き合い続ける“営み”のなかから生まれてきたのだ。
ものづくりという観点からでいえば、産業革命が18世紀に起こり、ものが機械によって効率的に作られるようになった。そこから技術はさらに進歩し、高度経済成長期を背景に大量生産大量消費の時代を迎えた。
その影響もあり、今では身の回りのほとんどのものは手軽に安価な価格で手に入れることができる。さらに近年では、技術進歩により人間の仕事に匹敵し取って代わるようなAIや3Dプリンターといったものも登場した。
そのような背景のなかで、工芸作家は「手仕事」によって生み出される価値や意味について常に問われてきた存在ではないだろうか。
近代から現代にかけて、近代化、工業化、合理化、効率化がはかられた社会において、工芸作家の「営み」は人が介在することへの挑戦でもあると考えられる。
この挑戦は物だけでなく人もコモディティ化にさらされている現代において、人間が豊かに生きる”営み”のヒントになるのではないだろうか。
今回の連載を通じ、工芸作家さんとのやり取りの中でそのヒントを探っていきたい。
今後について
今後、TOTTORI BUSINESS ONLINEにて、西郷地区の工芸作家さんや関係者のインタビュー記事を紹介してゆく。
錚錚たる顔ぶれのなか、口火を切っていただくのは花輪窯の花井健太さん、友田恵梨子さん。お2人のインタビュー記事を近日中に公開する。
今後も西郷地区の工芸作家さん、またそれに関わる方々にもお話を伺い、工芸の魅力や豊かに生きるヒントに迫ってゆく。
プロフィール
氏名:鎌苅慧哉 (カマカリ ケイヤ)
所属:鳥取大学地域学部(卒業後独立)
経歴:滋賀県大津市出身。興味あるテーマは「内発的発展による地域経済の活性化」。宮城県七ヶ浜の複合リゾート施設の立ち上げ、運営を経験。先祖が海賊。
連絡先:kkamakari08@gmail.com