旬刊政経レポートとのコラボ
月に一度、旬刊政経レポートと記事交換をするコラボをさせていただいています。第16回目は【えびす本郷 副業人材の活用で業績向上「地方企業の大きな力に」】という記事を掲載させていただきます。
えびす本郷㈱(鳥取県鳥取市商栄町203-24、渡邉健次代表取締役社長)は、菓子や食品などの卸売を中心に事業展開している。
同社はこれらに加え、山陰の産品を、ECサイトを通じて販売している。この事業を担当する通販事業部の本郷展之主任は「15年ほど前から通販事業部が立ち上がりました。しかし、13年間は利益が出ていませんでした」と振り返る。
これまで同社では、外部のコンサルタントを活用するなど、テコ入れをはかってきたという。しかし、売上が上がることはあっても採算が取れず、苦しんでいた。試行錯誤するなか、鳥取県立ハローワーク(とっとりプロフェッショナル人材戦略拠点)から副業人材活用の案内が届いたという。
鳥取県では、2019年度から「とっとり副業・兼業プロジェクト」を立ち上げ、高度なビジネススキルを持った副業兼業人材の活用を県内事業者に促進、経営課題の解決を支援している。同社はこれを利用し、通販部門強化に乗り出した。
「最初聞いたときは、こちらから提示できる金額も格安で、副業という概念が身近にありませんでしたし、大丈夫かなと感じました」と懸念していたという。
同社が通販部門を運営する上で抱えていた課題はデジタルマーケティングにおける技術力の不足だという。「サイトについてこうした方がいい。などの指示はいただけても、対応できる人員がいない状態。我々にマッチして欲しい外部人材は、課題に対し、適切な指示を頂ける方々でした」。
募集の結果、10人を超える応募があり、なかには海外居住者もいたという。そのなかから、Zoomを利用したオンライン面接を実施し、2019年の12月から東京在住の井須弘恵さんを副業人材として受け入れた。
決め手となったのは井須さんが提出したポートフォリオだ。ポートフォリオにはこれまでに井須さんが携わってきた事例が画像とともに資料化されている。本郷主任は「Webディレクターとしての経験と実績をしっかりと示していただけました」と話す。
受け入れ後から、現在まで月に2回、1時間のオンラインミーティングを実施している。初の副業人材である井須さんとの仕事について「頼もしい限りです。ホームページのレイアウトから、私たちでは判断できないであろう配色の部分まで的確に意見をいただけます」としており、ECサイトの見直しと改良を続けた結果業績は向上し、ついに黒字化を達成した。
また、副業人材を通じたメリットは他にもあったという。「やはり、弊社に技術力がないため、井須さんの指示に対応できるウェブデザイナーを確保するには外注しかなかったんです。しかし、井須さんご自身がぴったりのデザイナーを紹介してくださいました。その方も副業を希望しており、驚くほどコストを抑えられています」。
さらに、二人は地方に貢献したいという気持ちを強く持っているという。本郷主任は「こういう事例は、地方企業の皆様に知ってほしいなと思います。私自身、デジタルマーケティングのプロの仕事とはこういうものなのかと勉強になっています」としている。
コロナ禍で事業の多角化が求められる昨今、副業人材の活用は月に3万円〜5万円で可能であり、地方の企業にとって大きな力となりうる。