事例

全国のライフラインを支える~鶴見製作所の米子工場~

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旬刊政経レポートとのコラボ

 月に一度、旬刊政経レポートと記事交換をするコラボをさせていただいています。第八回目は【全国のライフラインを支える~鶴見製作所の米子工場~】という記事を掲載させていただきます。

(株)鶴見製作所の米子工場

 ㈱鶴見製作所(辻本治代表取締役)米子工場(米子市夜見町二七〇〇)では、揚排水ポンプをメインに生産し、全国のライフラインを支えている。

 同社は京都と米子に工場を設置しているが、米子は最大口径2000ミリメートルにも及ぶ大形のポンプ製作を担当。大規模な設備投資を続け、事業の拡大を続けている。

鶴見製作所外観

 桂田技術部長は、「みなさんが目にすることはあまりないと思うのですが、豪雨の際に大量の水を排出するためのものや、生活排水を処理するポンプを製作しています。

 都市部ですと、地下にまるで神殿のような地下水槽が設置されていまして、そこにポンプを介して排水し、洪水を始めとする水害を防ぐようにしてあります」と話すように、人々の命と生活を守る重要な役目を担っている。

米子工場で製作されるポンプは都市部でも採用されている

 さらに、東京オリンピックで日本選手のメダル獲得が期待されるカヌー・スラロームにおいて、人工による濁流を使ったコースが使用されるが、この濁流を生み出す大形ポンプも米子工場での製品が採用された。

 同社はさらに、ポンプ鋳造にさらに踏み込み、製作に使われる砂型の3Dプリンタを2年前に導入した。

 南部町に設立された「造形研究所」では、日々試行錯誤が行われ、従来の木型工法から脱する次世代のものづくりに向けて研究開発が行われている。

 桂田部長は「鋳造には木型を使用して製作した砂型が使われます。従来、外注していた工程となります。

 しかし、この3Dプリンタを活用できれば砂型の試作造形が木型を使うことなく、大幅な期間短縮が可能となります」と導入の経緯を話す。

南部町に「造形研究所」を設立。砂型の3Dプリンタも導入

 鋳造業は現在、就労環境のイメージなどが影響して人手不足が深刻化している。さらに木型の在庫を抱えるなどの課題を抱えており、黒字倒産する会社も少なくないという。

 同社が同設備を導入した背景には、自社で製作できるようにするメリットだけではなく、鋳造業の衰退に歯止めをかけたいという思いもある。

 「木型はデータを基にしているとはいえ、職人さんの手作業による部分も多いんです。この職人技の部分をできる限りデータ、マニュアル化していくことで人手の確保にも繋がると思いますし、地域振興にも繋がると思っています」。

 この造形研究所は、要望があれば他社からの視察にも積極的に応えている。また、県内外問わず、外部からの共同研究の依頼も受けており、開けた環境にすることで地域ネットワークを広げている。

 桂田部長は「我々はまずやってみようという考えで動くことが多いんです。この研究所の設立にあたっても同様の姿勢で向かいました。

 どう利益にするかというよりも、ここの設立によって、皆様とのつながりが増えているというのがなによりの財産となっています」と地域との関わりの重要性を話す。  

 現在、米子工場では施設の大規模改修も実施しており、来年には新たな大形の試験水槽も設置される。同工場は15年前に設立され、従業員は現在、創設当初の2倍以上となる約150人。

 地域の雇用創出にも力を入れている。利益を追い求める姿勢だけでなく、地域にどう貢献するかに重きを置いているからこそ、高い技術力を保持し、成長を続けている。

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