観光業界への大打撃
新型コロナウイルスの影響によって、多くの産業が多大な影響を受けている。影響の大きさを考えると、真っ先に挙がる産業の一つが観光業であり、新型コロナウイルス関連において、特に大きな影響を受けていることは間違いない。
ホワイト・ベアー・ファミリーの(以後WBF)グループ会社であるWBFホテル&リゾーツの倒産は記憶に新しい。2019年3月期の売上高が約48億円計上していた企業が民事再生法の適用を申請したのだ。
これは単に大手企業の問題ではなく、地方で観光アクティビティを営む業者や、観光客を主な顧客としていた小売店の問題でもある。
今までの「観光立国」の見直し
今まで観光庁は2008年から「観光立国推進法」を策定し、観光立国の実現に向けて国外へのPRや国内観光業者の多言語対応へのサポートを行なってきた。
数千万人規模のインバウンド市場は、大手企業だけでなく多くのベンチャー企業が挑戦をしていただけに、国としても挑戦的な取り組みが多かった。
しかし、新型コロナウイルスの影響によって、これまで国を挙げて推進してきたインバウンド戦略は大きな見直しが迫られている。
『マイクロツーリズム』とは
そんな中、観光業界はどのような対応をとるべきなのかという点に注目が集まっている。今回取り上げるのは、星野リゾートの代表、星野佳路さんの提案する『マイクロツーリズム』だ。
『マイクロツーリズム』とは、居住地から近隣の施設やお店でゆっくりと食事をすることや、改めて地元の魅力に触れるような「小さな旅」のことである。
地元に目を向けて楽しむ「マイクロツーリズム」では、三密を防ぎつつ、新しい旅を定義していくことが必要になる。この新しい体験へ挑戦できるかどうかが、これから消費者に選ばれるかどうかの分岐点となりそうだ。
幸いにも、鳥取県のアクティビティの多くは、雄大な自然を活かしたものが多く、アフターコロナの世界線で消費者が過敏となる「過密」はクリアしやすい。
また、マイクロツーリズムの観点から考えると、鳥取県に接する兵庫県、岡山県、島根県、広島県の住民に魅力を感じてもらえるコンテンツが必要になってくる。鳥取砂丘はもちろんのこと、これらの県内では体験できないものを考えてみるとヒントがあるかもしれない。
『マイクロツーリズム』を提案する星野さんは、「地域の魅力を知ってもらわなければ、実は観光は強くならない。新型コロナウイルスで大変なダメージを受けているが、転んでもただでは起きない。」
「日本の観光が復活するときには、地域の人たちがその地域の魅力を認知していることは、世界に日本の観光の強さをアピールできる大きな力になると思っています。」とテレビの取材で言及している。
アフターコロナを見据えた新しい観光の模索へ
長いスパンで考えると、本当の意味で海外の方々にも評価される地域の観光産業を作ることが求められる。そのためには、マイクロツーリズムへの挑戦を通じて、感染拡大を防止しながら地域住民を中心に地域経済が機能する観光など、新たな旅のあり方に挑戦する必要があると言える。
インバウンド再興のときを見据え、今何ができるだろうか。今の私たちには、ピンチをチャンスに変えられる力が問われている。
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